こんにちは、周です。今回は成語――「巻(捲)土重来」( juan tu chong lai)を紹介します。
巻(捲)土重来というのは、一度の戦いに敗れたものが、また勢いを盛り返し、砂埃を巻き上げて(巻土)、再び攻めて来る(重来)との意味です。貶義を含まれますので、よい意味ではあまり用いません、よい意味で勢いを盛り返し時、「東山再起」を使います。
出典は唐代の有名な詩人・杜牧の詩です。
杜牧は、唐代の名宰相と言われた杜佑の孫で、25歳の時、進士(高級官吏)の登用試験に合格し、役人となりました。その後、朝廷でかなりの地位まで出世しましたが、当時の宰相に憎まれて、長い間地方長官として各地を転々とされました。のちに再び都に戻ることができましたが、彼は役人だけではなく、孫子兵法の注釈したことでも知られ、また数々優れた詩を残しています。
彼は旅の途中、長江の北岸にある烏江というところに差し掛かった時であります。杜牧は、この地に纏わる・千年前の歴史物語を思い浮かべました。紀元前3世紀の終り頃、始皇帝の死に秦が滅亡した後、二人の英雄―項羽と劉邦が対立し、5年に渡った激しい戦いが繰り広げられました。初めは、項羽のほうが勝っていたが、形勢が逆転し、次第に追い詰められました。垓下というところに包囲され(「四面楚歌」の由来、次回紹介します)だが、ようやく脱出し、烏江まで逃げました。この長江を渡れば、項羽の故郷であります。地元の人が船を用意し、項羽に「故郷に帰って再起する」ように勧めたが、項羽が断って、追ってきた敵軍と戦った後自決しました。
杜牧は、この物語を基に「題烏江亭」という詩を書きました。
勝敗兵家事不期
包羞忍恥是男児
江東子弟多才俊
巻土重来未可知
江東は項羽の故郷であります。そこには豪傑が多いですので、「巻土重来」したら、情勢はどうなるか分からないのに……、項羽の運命を惜しんだのであります。