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『黄帝内経』筆記 蔵象学説(一〇一)
素問・五蔵生成論篇第十⑧
【説明】 本段(前々回と前回の分)は疾病の診治に「欲知其始、先建其母」について討論した。一般的に、これらの病証の機理を探求するには、経脈の循行部位及び所属の臓腑から考えるべきである。例えば、頭痛など巓頂部位の疾患を例として、邪実が上にあるものは、その病変が足太陽膀胱経にあると考える。これは、足太陽経が全身の表を主り、その循行方向が頭項から下へと言う特徴があるからである、治療は宣邪解表が宜しい。また、下部の虚証に属するのもある、例えば腎経虚寒で、陽気が上に達せず頭痛を引き起こした証には、補腎法での治療が宜しい。なので、病が存在する経と臓を確定し、虚と実を弁別したうえで有効な治療を行うべきである。
なお、五脈の診法及び色脈合参について詳しく説明し、脈診も色診も胃気の存在が大事だと提起している。色診に胃気が存在する表現は、どんな色でもやや黄色みを帯びること;脈診に胃気が存在する表現は、どんな脈でも和緩の脈象を兼有することである。これは望診と切診の原則であり、重要な臨床意義がある。
本段経文に、脱字がある。例えば、「頭痛巓疾、徇蒙招尤、腹滿瞋脹」のところに、上下虚実、厥冒があるが、「咳嗽上気、心煩頭痛」のところはない。また、「甚則入腎」と「甚則入肝」だけ記載してある。
本篇の纏め:①五臓と五体、五華の関係、五味が五臓に入るなどの理論は、『内経』の理論体系の中に五臓の機能活動系統に重要な部分であり、臨床で病理の分析、及び疾病の診断への理論根拠である。
②五色生死の原則について、2つポイントがある。其の一は、五色(常色)に潤って含みがあることで、五臓の気が衰えてないのである;其の二は黄色みを帯びることで、胃気が存在しているシンボルである。
③「此四支八谿之朝夕」という説により、「諸脈者皆属於目、諸髓者皆属於脳、諸筋者皆属於節、諸血者皆属於心、諸気者皆属於肺」という理論を提起し、この理論も「臓象学説」の重要な理論である。
④五脈診法及び色脈合参については、「欲知其始、先建其母」という診断と治療の観点を提唱している。
では、本日をもって「臓象学説」の勉強は一段落にします。次は、「病因病機学説」を勉強しましょう。
(李)
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