こんにちは、周です。今回は藕節治痢(藕節で下痢を治す)の話です。
藕節は、スイレン科Nymphaeceaeのハス Nelunbo nucifera.の根茎(藕)の節部です。秋冬に藕(蓮根)を収穫する際、節部を切り取って、キレイに洗って干したものであります。性味は甘・渋・平で、肝・肺・胃経に帰経します。収斂止血化瘀作用があり、収斂止血兼化瘀に働き、止血して留瘀の弊害がありません。各種の出血証(吐血・咯血・尿血・便血・崩漏下血)に用いられます。生藕節は止血化瘀に、藕節炭(炒炭)は収渋止血に働きます。
民間では、廉価で・しかも入手し易い藕節を利用する経験方が数多くあります。例えば、藕節6~7個を杵で突き砕く、適量の黒砂糖を加え煎じて服用します、この方は止血効果があります。藕節と緑茶ブレントして、血液の浄化・消化の促進に効果があります。
≪本草綱目≫に、こう記載してあります:能止咳血、唾血、血淋、溺血、下血、血痢、血崩。
藕節治痢の故事を紹介します。
南宋隆興元年に、高宗趙構が引退し、孝宗は皇位を継承しました。孝宗皇帝は生活奢侈で、山珍海味(山の幸・海の幸)を食べ尽くして飽きましたので、今度は湖蟹を食べたいです。暫くして、毎日西湖の蟹を食べ続けて、痢疾を患い(1日数回瀉下する)ました。御医(皇帝の専属医者)に「冷痢」と診断されて各種の薬を投与されましたが、効果はありませんでした。朝廷と父親の高宗は不安となり、高宗は「冷痢」を治療する特効薬を探すため、微服私訪(普段の格好で民間を訪問する)しました。
ある日、高宗が薬市場に行きました。その市場に沢山の藕節を売っていて、皆が藕節を購入する光景を見て、高宗は薬師(薬剤師、中医師)に、「藕節を買って何に使う?」と聞きました。薬師は、「今痢疾は流行していて、藕節は痢疾を治療する良薬ですよ」と答えました。その答えを聴いた高宗は、薬師を皇居に居る孝宗に案内し、孝宗を診察してもらいました。薬師は、孝宗を診察した後、こう言いました:「陛下過食湖蟹、傷及脾陽、故成冷痢。正可用藕節治之」(陛下は湖蟹を過食して、脾陽を損傷され、冷痢となった。藕節を使い冷痢が治せる)。すると、孝宗は薬師に言われた通りにして(藕節を金杵で突き砕く、熱酒で調服する)、下利が治りました。