こんにちは、周です。今回は
《雷公炮炙論》です。
中薬の製剤過程で、各種薬材の雑質を取り除き、有効成分の抽出に有利となるように、或いはその毒性を軽減したりするなどの目的で、加工や調整することを「炮製」と称します。その炮製の歴史は長く、《霊枢》や《金匱要略》の中で紹介されています。《雷公炮炙論》は、これらの書籍を基礎とし、その内容を総括して、改めて中薬の伝統炮製の理論書・解説書として、纏められたものであります。
《雷公炮炙論》は、《炮炙論》とも言います。著者は書名にある雷公であり、姓は雷、名を斅と称します。《本草図経》には、雷公が隋代の人であると記していますが、一般には南北朝から宋代の人とされています。参考・執筆・資料の整理・編集に参画や協力したものは、乾寧先生(晏封)・胡洽(胡道洽)でした。
《炮炙論》は、薬物の性味・煮熬(煮ると熬る)・炮炙(火に炮る)・修治(毒性除去などの前処理)などの理論や方法に関する専門書であり、全三巻で、掲載薬物は三百種にも及びます。原書は既に散逸しましたが、その内容の大部分が、以後の各種の本草関係書に分散され・採録されて残っています。例えば、宋代の唐慎微による《経史証類備急本草》、明代の李時珍による《本草綱目》。
明代の李中梓は、《炮炙論》の再編・輯録を試みしましたが、この輯録本には誤り・欠落などの不備が少なくありません。近代に至り、1932年に張冀力が、この古医書の復元を企画して輯録本を、上・中・下三品別に分類し、全三巻に纏めて出版しました。
雷公の《炮炙論》の影響力は幅広く、彼は同書によって、中国製剤学の始祖としての地位を確立しました。
次回は炮製法を紹介します。