こんにちは、周です。今回は医家・王冰の紹介です。
王冰は、号を啓玄子(啓元子)と言い、生没年・本籍とも不詳ですが、唐代の景云元年(710年)から貞元20年(805年)年間にかけた人と推定されています。唐代の宝応中(762~763年)に太僕令(官名、牧畜を管理する)に在職したことから、後世は王冰を王太僕と称しています。
王冰が中医学に大きな貢献したのは、《黄帝内経素問》を補注したことであります。彼が整理・注釈した《素問》は、その後の千年余りに広く流伝し、中医学を学習や研究する重要な根拠となっています。王冰は若くして養生に関心を寄せ、中医学を学びました、特に《黄帝内経》に研鑽と探究しました。天宝9年(750年)から宝応元年(762年)、十二年間をかけて《素問》24巻、合計81篇を完成させました。同書の運気七篇(「天元紀大論」、「五運行大論」、「六微皆大論」、「気交変大論」、「五常政大論」、「六元正紀大論」、「至真要大論」)が注釈を補塡されました。それは後世の運気学説の本(元)となっています。また、辨証論治に関する理論についての見解もあります。例えば元陽之虚を治療するには、「益火之源、以消陰翳」。真陰之竭を治療するには、「壮水之主、以制陽光」を提唱しました。これは臨床治則の名言になっています。
王冰の運気学説に対する研究や著述は多く、《玄珠》(宋代に逸失)、《玄珠密語》10巻、《昭明隠旨》3巻、《天元玉冊》30巻、《元和紀用経》1巻などがあります。ただ、これらの書物が王冰の名を仮託して後人(別人)が著わしたものとされています。