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『黄帝内経』筆記 病因病機学説(八)
素問・生気通天論篇第三⑧
【説明】 本節は人体陰陽の弁証関係を論述し、飲食など生活の不摂生による陰陽の偏盛と偏衰の病機病証を挙げ、陰陽協調の重要性、及び陽気が主導的であることを強調している。
陰精と陽気は相互依存、互いに用いる。原文は「蔵精」と「衛外」という言葉で人体陰陽の主な機能を概括し、「起亟」と「爲固」という言葉で陰陽の互用関係を説明している。これは『陰陽応象大論』にある「陰在内、陽之守也;陽在外、陰之使也」と同じ意味である。なお、「孤陽不生、独陰不長」もこれと同じ意味である。
古代の医家は、陰と陽の運動変化及び相互関係は人体の健康や生理病理などに大きい影響を与えていると認識している。なお、陽気の主導的作用も強調している。例えば、陰陽の性質では静穏がよろしきで、躁動が忌み嫌う(例えば本篇の「陽気者、精則養神、柔則養筋」、「陽気者、煩労則張、精絶」、「陽気者、大怒則形気絶」など)。なお、陰陽両者の調和であることを強調している(例えば「陰平陽秘、精神乃治;陰陽離決、精気乃絶」など)。ある意味では、臓腑、経絡の失調、六気の異常、邪正虚実などの病機も皆陰陽の失調に属すると言える。
「四時の気、更傷五臓」に関して、『内経』の中では数回論述している。本篇の他に、『素問・陰陽応象大論』に「冬傷于寒、春必温病;春傷于風、夏生飧泄;夏傷于暑、秋生痎瘧;秋傷于湿、冬生咳嗽;これは四時の順序である」があり、『霊枢・論疾診尺』にも同じような記載がある。これらは、季節の邪気を感受したら、必ずしも其の時に本臓を損傷して発病とは限らなく、邪気が体内に停留し、後になってから他臓を損傷して発病することを説明している。なお、一定な規律があることも説明している。
つまり、日常生活を規律正しくする、飲食と労作を摂生することは、臓腑の養いと陰陽の調節、疾病の予防のとても重要な意義がある。
(李)
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