こんにちは、周です。今回は文旦(柚子)話です。
柚子は、柑橘類の一種であります。古人は文蛋(現在は文旦と書きます)と呼びます。原産は東南アジア・中国南部・台湾で、中国南方の広西省、福建省で多く栽培します。中国の広西省容県の「沙田柚」が良質とされています。性味は甘酸・寒で、脾・肝経に帰経します。消食化痰・理気平喘作用があります。消化不良、咳嗽、気喘、酒酔に用いられます。
≪日華子本草≫に、こう記載してあります:治妊婦人食少並口淡、去胃中悪気、消食、去腸胃気、解酒毒、治飲酒人口気。
沙田柚は古く(約2000年前)から栽培されています。沙田柚の名は、清の乾隆皇帝に付けられたというエビソートがあります(沙田県出身の朝廷官吏が柚を乾隆皇帝に献上しました)。その後、沙田柚は朝廷に朝貢するようになり、世界に知られるようになりました、需要も増え、1930年より容県以外の臨桂県・陽朔県も栽培し始めました(臨桂県・陽朔県の土壌の性質は容県と類すから)。今は臨桂県・陽朔県産の柚も容県産の柚と同じように「沙田柚」と称します。
沙田柚は広西省伝統的な輸出品として名が知られ渡っています。唐の詩人である張彤は、柚子を詠む詩を残りました:
樹樹籠煙疑帯火
山山照日似懸金
柚子の外形は真ん丸で、団圓与美満(団聚する、再会する、幸せで円満である)を象徴しますので、縁起が良いものとして南方の人々に喜愛されています。私の故郷(広州)では、中秋節や春節の時に柚子を食べます。結婚する家庭に柚子を飾ります(特に新郎新婦の寝室に欠かせない飾りものとなっています。広州語の柚子を「有子」(柚子=有子に因んで)と発音しますから、結婚した後に早く子供が生まれるという願望を表します。
柚子果肉は果汁が少ないが独特の甘みと風味を持ちます。果肉を生食する他に、皮も用いて加工品原材料として砂糖漬けなどを作ります。柚子皮を主原料にして作られた広東省東莞市石龍鎮の特産品―「麦芽糖柚皮」は有名です。また柚子皮も野菜として食べられます。
現代営養学観点から見ますと、柚子は高い栄養価が有します。豊富なビタミン・タンパク質・ナトリウム・カリウム・カルシウム・磷等を含んでいます。