こんにちは、周です。今回から医家・孫思邈逸話を紹介します。
第一話:孫思邈与阿是穴
針灸学の阿是穴は、孫思邈(
2009年3月2日ブログ記事をご参照ください)が臨床治療を行った時に発見されたと言われています。
ある日の朝早く、孫思邈(当時の彼は70歳位であります)は≪千金要方≫を書いていました。突如、郷里の一人が急を告げに来ました:孫先生、昨日用があって私は青石村に行きました、陳阿大の病気は進行して病情が益々悪化していますよ。痛くて死にそうです。受診(服薬や針灸治療など)しましたが効果はありません。陳さんは先生の往診を望んでいますが、貧困の家庭で、先生の診察料を支払えないことを恐れています。
郷里の話を聞いた孫思邈は、少しも躊躇わなく、こう言いました:今すぐ診察しに行きます。
郷里:青石村は遠いです、しかも羊腸小道(曲がりくねった小道、山道を指します)が多く、2つの山と3の溝を超えないと行けません、先生は年配で大丈夫ですか?
孫思邈:私は確かに年ですが、また硬朗(老人が体が丈夫であります)ですよ。
そう言いながら、孫思邈は針を用意して、薬嚢(中薬を入りのリュック)を背負って、杖をついて往診の途につきます。夕方にようやく青石村に着き、陳阿大が住むボロ家を見つけました。孫思邈は人事不省の陳阿大に正規の穴位を刺して、意識を回復させましたが、止痛できなかったです。その後、何度も古書に記載されている止痛作用ある穴位をすべて刺しましたが、全然効きませんでした(陳阿大は依然として痛みを訴えています)。孫思邈は、まさか人体の腧穴(輸穴)は古書に記載されているものしかないことはあるまい?と疑問しました。
彼は暫く考えました。
孫思邈は患者(陳阿大)に聞きました:一番痛い処は何処ですか
陳阿大は有気無力(息づかいだけで声に力がない、元気のないさま)返事しました:左、左、左……腿
そして孫思邈は親指で患者左腿のある部位を押しながら、「ここですか?」と聞きました。膝関節の左上方の処を圧したら、陳阿大が突然「阿……是……是這児(ああ、そこだ)」叫びました。孫思邈はそこを刺し後、患者の痛みがなくなりました。彼は大喜び、「先生、この輸穴は凄く効きますね、これは何という穴位ですか?」と聞きました。患者の苦痛を解消したので、孫思邈も上機嫌で、ハハハと笑いながら「先ほど、あなたが阿……是と言いましたよね、あれは阿是穴ですよ」と答えました。
附:腧穴、いわゆる「ああ、そこだ」という体表の圧痛点・過敏点で、畦穴も同じです。
経穴には正規のルート(十四経)上にある経穴が361個、その他に効果の認められたルート外の奇穴が数多くあります。それらの穴位は、大体場所が決まっているのですが、それとは別に阿是穴と言うものがあります。この経穴は場所が決まっている訳ではありません。圧痛点とか反応点の事を言います。針灸治療では、阿是穴を追いかけて治療しては根本治療にはならず、体の状態を見極め、経穴や奇穴を使って治療します。基本的にはその通りですが、場合によっては阿是穴が重要になります(例えば捻挫や打撲などの痛みが残った時や、ぎっくり腰などは、阿是穴のほうがよいです)。