2017年国際中医師標準試験に向けて、いよいよ本格的に練習問題をし始めなければなりません。過去問(『復習大綱』)についての質問への答えをまとめましたので、2年前と同じく『中医基礎理論』、『中医診断学』、『中薬学』、『方剤学』、『中医臨床学科』、『中医辨証論治』というかたちで、6回に分けてブログに載せます。どうぞ、ご参考下さい。
2月13日に内容を補充しました。
(答えにあります「教」は『中医基礎理論』中国語テキストの略称です。)
No.10 臓腑陰陽属性の理論について教えてください。
Ans: 陰と陽は限りなく分けることができます。臓と腑で見れば、臓は陰で腑は陽です。五臓を陰と陽に分ける場合は、胸部にある心と肺は陽で、腹部にある肝、脾、腎は陰とされます。さらに心肺を陰陽に分けるなら、心が「陽中の陽」、肺が「陽中の陰」となり、肝脾腎の場合は、肝が「陰中の陽」、腎が「陰中の陰」、脾が「陰中の至陰」となります。
No.12 正解はDではないでしょうか?教えてください。
Ans: Dの「陰液不足で陽気が相対的に亢進し虚熱を発する」は間違いではないです。ただし、出題の本意では「陽気」に対して「陰気」のことを求められています。なので、Eの「陰気不足で陽気が相対的に亢進し虚熱を発する」のほうが最も適切な答えとなります。
なお、「陰気」とは「陽気」と相対する言い方です。例えば、機能と物質で言うと、機能が陽気で、物質が陰気です;臓腑で言うと、五臓の気が陰気、六腑の気が陽気です;営衛の気で言うと、営気が陰気で衛気が陽気です;気血で言うと気が陽気で、血が陽気です……
No.15「益火の源、以て陰翳を消す」(陰翳:インエイと読むのでしょうか?)はどのような意味でしょうか?
Ans:陰翳(インエイ)とは陰影の意味で、陰の病証を指します。「益火の源、以て陰翳を消す」、真陽不足による陰寒の病証に適応される治療法です。「火の源」は真陽で、腎陽のことです。
No.16「陰病は陽を治す」の病理基礎はどれか?陰病が陽を治すとはどういうことでしょうか?また、答えの陽虚になる意味を教えてください。
Ans:八綱では、全ての病証を「陰病」と「陽病」に分けることができます。寒性の病証は「陰病」に属します。また、寒性の病証には、大きく陰盛(実証で、邪気によるもの)と陽虚(虚証で、陽気虚弱によるもの)2種類が含まれます。
本題の「陰病は陽を治す」というのは、実は、上記のNo.15と同じ意味で、陽虚の場合に適しています。見た目は陰病ですが、本質が陽虚(例えば、脾胃虚寒証)のため、「陽を治す」とします。
No.20 骨疼痛、頭髪脱落は腎のトラブルで、甘味を取り過ぎたために…は脾と「相乗」関係になったと理解すべきですか?
Ans:そうです。教P23上から7行目に「気有余、則制己所勝…」との記載があります。甘味を取り過ぎると、脾気が旺盛になり、腎を相乗すると理解してください。
No.77 気の主は肺、気の根は腎、気の本は脾でOKですか?
Ans:「気の主は肺、気の根」はOKですが、「気の本は脾」という言い方はありません。
No.80 胃の関とはどういう意味ですか?腎と胃の関係を詳しく述べている箇所は教科書ではどこにありますか?
Ans:「腎は胃の関」の意味について、「関」は「せき」のことで関所の意味です。胃が受納した水液が主に腎を経由して体外に排出されることを指します。教P41の上から6行目に記載があります。
No.99 中精の府とはどこですか?
Ans:教P44中段に記載があります。『黄帝内経』では「胆」を「中精之府」と称しています。胆は六腑の一つですが、奇恒之腑でもあります。他の腑と違って、水穀を伝化するではなく、精汁(胆汁)を貯蔵及び疏泄するので、故に「中精之府」と称されます。『霊枢注証発微・巻一』に「他の腑に受けるものは濁の物だが、胆だけ五臓の精汁を受ける」と書いてあります。『甲乙経・巻一・第三』は胆を「清浄の腑」と称しています。
No.102 五体とは何ですか?
Ans:「形体」のことで、筋、脈、肉、皮毛、骨のことです。
No.108「精血互生」を反映する、の意味を教えてください。
Ans:教P51「肝と腎の関係」の部分をご参照ください。
No.125 人体の体温を恒常的に維持するのは気の温煦作用なのは分かりますが、涼潤との関係は何ですか?
Ans:教科書には書いてないが、ここの質問は主に「人体の体温を恒常的に維持する」に対して、体温の調節に気の温煦作用の他にも身体のいろんな機能が作用していることを説明しています。「温煦」の反対作用なので、「涼潤」といいます。
No.129 水穀の清気と水穀の悍気の違いは何ですか?
Ans:どちらも水穀から化生されるものですが、水穀の清気はおもに身体を養う「営気」になり、水穀の悍気はおもに身体を守る「衛気」になります。「悍(かん)」は強い意味です。
No.136「散精」の精は水穀の精微のことでしょうか?
Ans:そうですね、「散精」とは脾が水穀精微を全身へ輸布することを指します。
No.187「継発性の病因」の意味は?
Ans:日本語では、「続発性」と言います。病理産物(病気によって体内に溜まったもの)が致病の素因となることと理解してください。
No.189 最も心神を蒙蔽しやすい病邪とは?
Ans:心神を妨げる病邪のことです。「痰迷心窮」や「痰火擾心」などの証から考えた方が分かりやすいです。これらの証は、「痰」による精神的病証です。教P101の下から3~2行目に記載があります。
No.199、200 どこを見れば良いか教えて下さい。
Ans:とても単純で基本的な用語です。教科書に明記してないが、P132の上にあります標本に関する記載に新病や継発病(日本語では「続発病」と言います)のことについて書いてあります。なお、「合病」に関しては、六経病の伝変関係をご参考下さい。『中医診断学』中国語教科書P136の一番下~P137の部分をご確認下さい。
No.203 どこを見れば良いか教えて下さい。
Ans:教P120の上から8行目に「各臓の陰陽失調、久必及腎」と記載があります。
No.205 疾病の基本病機、西洋医学的な考えだと「臓腑の機能失調」を選びたくなりますが、機能が失調する前に陰陽のアンバランスがあるとの考え方なのでしょうか?
Ans:そうです、教P108上から2~5行目のところをご参照ください。
No.216 肝は不臓血が出血に至るのはなぜですか?
Ans:教P37の下から13行目に「肝の蔵血は、出血を防止する重要な作用である」と記載があります。本来血液が肝臓に戻るのに、戻らなかったら、溢れたりしたら、出血が起こります(例えば、月経過多)。
No.218「気虚血熱」は「気虚発熱」と同じですか?
Ans:いいえ、「血熱」は熱証による出血などの症状を指しますが、発熱しないときもあります。なお、「気虚血熱」という言い方はないです。「気虚発熱」は気虚による発熱のことです。
No.229 問題の意味がよく理解できません。五志とは、喜(心)、怒(肝)、思(脾)、憂(肺)、恐(腎)で、六気とは風、寒、暑、湿、燥、火の正常な状態ですよね?
Ans:五志と六気についての理解はOKです。情緒(五志)の過激、六淫などの邪気が体内に籠ると皆「化火」します。教P118 上から6行目に「邪鬱化火」、同じページ上から10行目に「五志過極化火」についての説明があります。
No.230 どのように考えればよろしいのでしょうか?
Ans:熱陥心包とは、熱(火)邪が心包に入ることを指します。外邪なので、内火に属さない。
No.232 どこを見ればよろしいのでしょうか?
Ans:この問題の内容についても基礎理論の教科書に明記してないが、基礎理論の「病因・六淫」、診断学の「八綱辨証・表裏」や、内科学で習った各外感病証に、表裏伝変の話がありますので、それらをご参考下さい。
No.263 「用熱遠熱、用寒遠寒」を教えて下さい。
Ans: 因時制宜の内容で、教P136の上から3行目~。「用熱遠熱」とは、熱い時期(夏)に寒邪を受けたとしても、辛温発散のものを使い過ぎではいけない、気陰を損傷しないためです。「用寒遠寒」寒い時期(秋冬)に熱邪を受けたとしても、寒涼のものを使い過ぎではいけない、陽気を損傷しないためです。
No.264 どの症状から腎と関わりがあるのか教えて下さい。
Ans:「動くと気急(呼吸促迫)及び喘促(喘ぐ)が発作する」などは、腎不納気の症状です。教P126の下から13行目をご参考下さい。
No.266「厥冷不仁」とは?
Ans:「不仁」は痺れたり感覚を失ったりすることで、「厥冷」は冷え過ぎることです。ですから「厥冷不仁」は、四肢がとても冷えていて感覚がない状態のことです。
No.271 教えて下さい。
Ans:この問題は『診断学』or『小児科』の問題です。『中医診断学』中国語教科書P52下から7行目をご参考下さい。なお、昔では回虫が小児によく見られる寄生虫であり、『中医小児科』の講義で詳しく説明があります。
No.272、273 「陰盛格陽、陽盛格陰」、「陰損及陽、陽損及陰」の違いを教えて下さい。
Ans:「陰盛格陽、陽盛格陰」とは、身体の中に陰(陽)の邪気が盛んになり、身体の陽気(陰気)を中に入ることを阻み、表面では陽盛(陰盛)の症状が現れることを指します。「格」とは拒否、阻むという意味です。
「陰損及陽、陽損及陰」とは、身体の陰(陽)の正気が損なわれ、陽(陰)に影響を及ぼし、陰陽両虚の状態になることを指します。
No.276 血不生気の意味は、血は気を生むことができないという意味ですか?
Ans:そうです、血は気の担体(キャリア)であり、又は気に充分な栄養を与えること(つまり、物質がエネルギーに化生すること)となっています。教P62の上から15行目~「血為気之母」の部分をご参考下さい。
No.286 脾虚肝乗と肝気乗脾の違いは? 「肝気犯胃」とは?
Ans:「脾虚肝乗」とは、先に脾虚があって、肝気に「乗」されることです。「肝気乗脾」とは、先に肝気旺盛し、横逆して脾の機能を影響し、脾の症状が現れることです。相乗関係に二つのパターンがあります(教P22 下から6~2行目をご参考下さい)。
なお、「肝気犯胃」とは、肝気が旺盛し、横逆して胃の機能を影響し、胃病の症状が現れることです。症状については、『中医診断学』P128の「肝脾不和証」と「肝胃不和証」をご参考下さい。
No.292 面色萎黄の単語に反応して「脾虚」を思い浮かべましたが、脾虚による血虚→血虚の症状の中でも心悸、失眠多夢など心の症状があるので正解は「心血不足」になるのですね?
Ans:そうです。この症例は顔色以外の症状は全て「心血不足」の症状です。確かに「心血不足」の顔は「蒼白・無華」ですが、実際の情況は様々あります(例えば、患者が心血不足の同時に脾虚も兼ねる、なお、患者本来の肌の色や、カルテを記入する医者の視覚差などもあります)。
No.293 何を根拠に帯脈を選べばよろしいのでしょうか?
Ans:この問題は『経絡』に関する問題です。基礎理論の講義であまり話してないですが、奇經八脉の機能で選びます。『中医婦人科』の講義で詳しく話します。
No.308 「壮水の主、以て陽光を制す」とはどういう意味ですか?
Ans: この言葉は、No.15の「益火之源、以消陰翳」(扶陽益火で虚寒証を治す)の治療法の反対の方法であり、滋陰壮水で虚熱証を治す方法です。教P17下から9行目~をご参考下さい。
No.340 体は陰にして、用は陽とはどういう意味ですか?
Ans:肝臓の話です。「体」とは機体で「用」とは功用(機能)のことです。肝臓自体は(腑に対して)陰に属すが、その機能は陽性です。教科書に記載してないが、韓先生と金先生の講義では、この話をしております(よく試験問題にでる内容です)。
No.368 乙癸同源とはどういう意味ですか?
Ans:肝腎同源のことです。古代では、十干〔甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸〕を五臓六腑と次のように配属しています:甲(胆)乙(肝)、丙(小腸)、丁(心)、戊(胃)、己(脾)、庚(大腸)、辛(肺)、壬(膀胱)、癸(腎)。よって、肝のとこを「乙」、腎のことを「癸」と称しています。
No.377、378 教えて下さい。宇宙の本源の気とは?
Ans:気の運動の形式について、人体に対して宇宙は大きな空間であり、内と外は存在しないので、そこで気の動きは「出入」と言わずで、「聚散」と言います。「宇宙の本源の気」とは「天地の気」を指します(教P54下から15~12行目をご参考下さい)。
No.406 教えて下さい。
Ans:奇經八脉の作用です。教P79下から6行目②をご参考下さい。
No.422 記載されている場所がありましたら教えて下さい。
Ans: No293の答えをご参考下さい。
No.430 甘寒涼潤とはどのような治療方ですか。冷すのに甘を使う意味は何ですか?
Ans:甘味で寒涼性の生薬を使い、陽盛の証を治療する方法(正治法)です。特に甘味を選ぶのではなく、「甘寒」を強調しているということです。
No.431、432 一気一病、症状が相似するとの意味がよくわかりません。
Ans:これは癘気(れいき)の発病特徴です。教科書に「一気一病」という言葉はありませんが、意味は「症状は似ているが、一種の癘気に一つ病名を付ける」ことを指します。癘気に関しては、教P97~98で確認してください。「病邪が相兼して病となる」とは、六淫が病気を起こす特徴です。意味は、2種類以上の邪気が同時に人体に侵入することで、風寒、暑湿などがあります。
No.459、460 どこを見ればよろしいのでしょうか?
Ans:とても単純な問題ですが、それほど重要な問題と思わないでください。教科書に明記してないが、教P107「邪盛正衰と疾病転帰」の部分及び 教P9「9飲食不節」の部分をご参考下さい。
No.461 どこかに記載ありますでしょうか?「邪正相搏」、「正虚邪恋」の意味を教えて下さい。
Ans:教P107 下より5行目~をご参考下さい。「邪正相搏」邪気と正気が互いに戦うことです。「正虚邪恋」正気が虚弱し、邪気が(虚弱している身体に)附着することです。
No.473 脱液の定義は何ですか?載っている場所があれば教えて下さい。
Ans:「脱液」とは陰液枯涸とも言います。教P114津液不足の部分をご確認ください。
No.485、486 教えて下さい。
Ans:「恬淡虚無(てんたんきょむ)」とは、静かで、落ち着いている状態を保つこと、あっさりしていて無欲であることです。精神状態を調養することです。教P130下より14行目に記載があります。
「春夏養陽、秋冬養陰」は『黄帝内経素問・四気調神大論』にある言葉です。春夏に陽気が上昇し、秋冬に陰気が増えることは自然のことですので、人の生活もそれに順応すれば、病気を防ぐことができます。
No.489.490 の解答ですが、どちらもA熱因熱用になっていますが、それであっていますか?
Ans:「反治法」と「従治法」は同じことですので、答えはどちらもA熱因熱用となります。
普通の方法と反対する治療法なので、「反治法」と言います。なお、病状の性質と同じ性質のものを使うため、「従治法」という言い方もあります。
ちなみに、「熱因熱用」の意味は、熱の証に温熱のものを用いて治療するということで、「反治法」(「従治法」)に属します。なお、「正治法」は「逆治法」とも言います。教P132をご確認下さい。
No.495 教えて下さい。
Ans:併補は、同時に補うという意味です。陰陽併補は陰陽両方虚弱している時の治療法です。
(教務担当:李)