(答えにあります「教」は『中医診断学』中国語テキストの略称です。)
No.7 「黧黒」は、どす黒いと理解しても良いのでしょうか?黄色味を帯びていますか?
Ans: 黧黒はツヤのない黒っぽい感じで、黄色味は入っていません。
No.10 Cの疹がでたり隠れたりは陰斑の症状ではないのでしょうか?教科書P26 内延胸腹の意味を教えて下さい。
Ans: Cの「疹が出たり隠れたり」とは、疹が「突然隠れて見えなくなる」という意味です。こちらは斑疹の逆証に見える症状になります。
陰斑のところに記載しています「隠々稀少」とは少なくてかすかに見えるという感じです。
なお、「内延胸腹」とは、「斑疹が先に四肢より出現し、その後(四肢の)内側にある胸腹部へ広げる」、「延」とは広げるの意味です。
No.18 瘿瘤は甲状腺の腫瘍ですか?
Ans: 瘿瘤は首にできるコブですが、主に甲状腺の腫れや甲状腺の腫瘍を指します。
No.19 ①「白ハイ」、②「痱子」とは?
Ans: ①暑湿、湿温による皮膚病の一種、②アセモです。
No.21 少神と失神とは違いますか?少神の記述は教科書のどこに出ていますか?
Ans: 少神とは神気不足のことです(教P11(三)神気不足と神志異常の部分をご確認ください)。
No.22 「癫」と「狂」について教えてください。どこを見ればよろしいですか?錯語はどういう意味でしょうか?
Ans:両方とも精神障害で、前者は鬱病、後者は躁鬱病に相当します。教P42下より3行目にあります「独語」のことは「癲証」(精神病の一種)に属します。「錯語」も同じP42下より3行目にあります。独語との違い:錯語の場合、患者本人は言ったことを知っている。
No.24 虚証の独特の顔色はありますか?虚熱が出た時は虚火の上昇によって頬骨の辺りが赤くなると理解しているのですが。
Ans:「虚熱が出た時は虚火の上昇によって頬骨の辺りが赤くなる」との理解は正しいです。「虚証」の独特の顔色はありません。タイプによって顔色が違います(例えば、陽虚はこう白、陰虚は微赤、気虚は淡白、血虚は白で無華など)、どの虚証でも「青い顔色」は見られません。
No.27 どこを見ればよろしいですか?
Ans: 教P17下より16行目に「肥満で食少は、形盛気虚であり、多くは脾虚有痰」と記載してあります。この問題の選択肢のB~Eはみんな陰虚(血虚)類で、Aの陽虚だけが「脾虚有痰」で「形盛気虚」と一致しています。
No.28 答え「B」になっていますが、「E」もみられると思います。答えが「B」の根拠を教えてください。
Ans: 教P18 上より10行目をご確認下さい。「手足蠕動」とは微細な振動(震える)ことで、虚風内動の症状です。一方、「E」の症状は四肢抽搐(痙攣)です。なお、教P121の表にも記載がありますので、どうぞ、ご参考下さい。
No.32 Dの「肝風発痙」、Eの「偏枯」の意味を教えて下さい。
Ans: Dは肝風による痙攣を指します。Eは「中風偏枯」のことで、中風の一種です。『黄帝内経』に記載がありますが、『中医内科学』にもあまり詳しく説明してないので、虚証の中風だと理解して下さい。
No.35 芒刺舌とは?
Ans:「芒刺舌」とは舌の表面に赤く小さなとげが生じることで、体内に熱邪がある時に見られます。教P34上から18行目をご参照下さい。
No.42 「刮舌」とは舌磨きのことですか?
Ans:教P38上より2~4行目をご参考下さい。「カッゼツ」と読みます。苔の真仮を判断する方法です。
No.43 舌診では「気滞」や「気虚」は弁別できないという理解で大丈夫ですか?
Ans: この問題は、舌体の色が「淡紫」で「湿潤」である状態の舌象についての質問です。 教P33下から14行目に「寒凝血瘀」と記載しています。舌診で「気滞」や「気虚」の弁別はできますが、こちらでは当てはめられないです。
No.44 Aは苔、BとEは舌体の動き、Cが舌形を表すとすると、Dはどのようなものですか?
Ans: B、D、Eはすべて舌態の内容に属します(教P35上から9行目をご参考下さい)。
No.48 垢苔とはどのような舌苔ですか?
Ans: 教P37上より4~5行目にあります。舌の表面が油を帯びたように、べっとりとして厚くなったものは膩苔であるが、その上に、汚い垢状ものがまじった舌苔を「垢苔」或いは「濁苔」といいます。
No.57 「積粉苔」とは? 「疫癘の邪気」とは?
Ans:「積粉苔」とは、舌面に大量な白い粉のようなものが積み重ね、乾燥してない舌苔を指します(教P36上から3行目で確認してください)。
「疫癘(えきれい)」とは、「瘟疫(おんえき)」という伝染性の強い邪気です、「癘気」とも言います(教P96)。
No.58 黒苔は裏証ですね?
Ans: 主に裏証に見られるものですが、上記「疫癘証候」の酷い段階にも見られます。
No.60 苔潤が苔燥に変わるのはどのような時ですか?苔多が苔少に変わるのはどのような時ですか?
Ans:「苔潤が苔燥に変わる」:舌面に「潤」しているのは正常状態です。「燥苔」は津液損傷の現しですので、正常な人が実熱証になったや、突然陰液虧損な状態になった時などにみられます。
「苔多が苔少に変わる」:「厚苔が薄苔に変わる」と同じく、正気が回復し、病状が治る方面に向かっていることの現しです。
No.66 「虚裏の動きが衣服に反映…」の意味が分かりません。
Ans:「虚裏」とは心尖部(心臓の下の部分)を指します。「虚裏の動き」とは心臓の拍動のことです。正常時には、着ている衣服の上から心臓の拍動は見られません(教P76下より10行目)。
No.69 「邪正相持」とは?
Ans: 邪気と正気が戦い、両方が対峙している段階のことで、邪気と正気が拮抗していることです。
No.72 短脈とは?
Ans: 気鬱か気虚証に見られる脈です(教P68)。
No.76 「腸癰」とは?「燥屎内結」と便秘は異なりますか?
Ans:「癰」とは膿腫のことなので、「腸癰」とは腸の膿腫のことです。
「燥屎内結」は便の状態(乾燥して溜まっている)を表します。便秘は病名なので、燥屎内結は便の状態を表し、または便秘の原因の一つです。
No.94 陽証転陰と陽盛格陰の違いは何ですか?
Ans: 陽証転陰は陽証が陰証に変わる(例えば熱証が寒証になる)ことです、陰陽の転化に属します。陽盛格陰とは、陽気(邪気)が盛んになり、陰気が体表に停留し、中に入れない(阻まれる)ことです。陰陽格拒に属します。『中医基礎理論』中文テキストP16、P110をご参照下さい。
No.102 設問の症状だけでなぜCを選べるのか、理解できません。腹満だけが実証で、他が虚証の症状なのですか?
Ans: そうです。教P77上から13行目をご参考下さい。「虚満」とは真虚假実の意味です。
No.112 因虚致実と虚実併重はどういう状態のことを言うのですか。
Ans: 因虚致実とは、虚証によって実証が発生すること、原因と結果を表しています。例えば、気虚におる瘀血など。虚実併重とは、虚証と実証がともに重いことを指しますが、原因と結果を表してないです。
No.117 「飲証」と「痰飲証」は同じと理解しても大丈夫ですか? 教科書P106に「水声漉漉」とあります。どういう意味ですか?
Ans:「痰飲証」は「痰証」と「飲証」の2つ含まれ、さらに「飲証」は4種類に分けられます。『中医内科学』で詳しく勉強します。
「水声漉漉」とは「水声がごろごろと鳴る」という意味です。
No.118 心陽虚証の脈は微細だと思いますが、なぜ結代脈が心陽虚証の脈になるのでしょうか?なお、「口舌生瘡」は何ですか?
Ans: 結脈・代脈は「不整脈」であり、心陽虚証によく見られます。微細脈は脈の強さの表しで、結・代脈は脈のリズムの表しです。
なお、「口舌生瘡」は口内炎のことです。
No.119 寒邪客肺証は、寒邪犯肺のことですよね?風寒の邪が肌表を襲うため、表証が出現するので、悪寒や発熱があると思いますが、答えは「B」ですか?
Ans: 教P111の(三と四)をご参考下さい。風寒束肺証と寒邪客肺証との違いを覚えて下さい。風寒束肺証は外感風寒の邪気によるもので、寒邪客肺証は肺内に寒邪が生じることです。
No.121 C反応が鈍く、動作の敏捷性がないとありますが、失神の動作遅鈍と少神の動作遅緩のどちらにあてはまるのでしょうか?解答がDなので、失神に当てはまるかと思いますが、違いが分かりません。
Ans: 失神の軽いほうを「少神」と言います。「動作遅鈍」はほとんど動かないことの表現で、「動作遅緩」は動きが遅いだけです。Cは失神の症状です。なお、失神の精神状態は意識不明、或は意識もうろうなので、Dはまだ「少神」の段階です。教P11下より13行目の「神気不足」は「少神」です。
No.123 教科書P28に透関射甲のページを見つけましたが、現れる病証はどれか分かりません。
Ans: 病証は小児の外感病です。「透関射甲」のほうは、邪気がさらに深く入っていて、命に係わる危険があるという症状です。
No.129 脾腎陽虚→五更泄瀉と理解していたのですが、この設問の正解が溏薄清稀なのはなぜですか?
Ans: 五更泄瀉は下痢をする時間を指し、「溏薄清稀」は便の状態を指します。
No.133 両颧潮紅、満面通紅、白裏透紅の状態を教えて下さい。
Ans: 両颧潮紅:ほほだけ赤い。 満面通紅:顔がまんべんなく赤い。 白裏透紅:白い色に赤みがさしている。
No.138 喀血は肺から、吐血は胃からの出血と理解してOKですか?
Ans:OKです。
No.139 大腸液亏でも口臭はあるのですか?
Ans:見られる場合があります(教P113下から6行目に記載があります)。
No.150 瞳孔拡散の仕組みを教えてください。
Ans: 中医では、腎精耗竭→瞳孔(先人は「瞳仁」「瞳人」と表現)の筋肉が収縮できなくなると認識しています。現代医学的な解釈では、迷走神経が働かなくなるからです。
No.153 腥臊臭は生臭い臭いと理解していますが、その仕組は?なぜ、風湿熱が皮膚に溜まると汗が生臭くなるのですか?
Ans: 腥臊臭のある汗は「臭いがきつい」という意味です。風湿熱の邪気(菌)が皮膚に長く滞留→菌が繁殖→きつい臭いが生じます。
No.155 「絶汗」とは?
Ans: 亡陰証と亡陽証の汗です。
No.156 行痹はどこを見ればよろしいですか?
Ans: 内科学に「痹証」のところに記載してありますが、診断学では、教P51上から14行目をご参照ください。
No.157 胃気のある脈=正常な脈でOKですね? 脈の本位とは何ですか? BとCについて、教えてください。
Ans: 胃気のある脈は正常な脈でOKです(教P65)。脈の本位とは元の位置のことで、ここでは寸・関・尺を指します。Bは「落ち着いていてゆったりしている」表現で、Cは長脈です。
No.169 Bの意味を教えてください。
Ans:「謇(けん)」の意味は「どもる」で、「語言謇渋」とは、自由に話すことができないということです。
No.174 陽明経証と陽明腑証の主な区別はどう判断すればよろしいですか?
Ans: 陽明経証と陽明腑証の主な区別は、後者は大便秘結(腸内に乾燥した糞)があることです。教P134~135「六経弁証」の部分をご確認ください。
No.195 心陽虚になると、なぜ「胖」が現れるのでしょうか? 脾腎陽虚では淡白舌、胖嫩(湿潤)になると記憶していますが、間違っていますか?
Ans: 間違っていませんが、「淡胖舌」は陽気虚弱の証なので、心陽虚にも脾腎陽虚にも見られます。
No.198 表裏倶熱とはどういう症状ですか?
Ans: 表裏倶熱は体表にも、体内にも熱があるという状態です。
No.209 表熱裏寒とはとれないでしょうか?
Ans: この症例は外感風熱の症状がないので、表熱裏寒とはとれないです。
No.211 中暑は暑気当たりですか?それとも熱中症?傷暑は?
Ans: 中医学の「中暑」は日本の「熱中症」に相当し、「傷暑」は「暑気当たり」に当てはまります(教P95「暑淫証候」の部分をご確認ください)。
No.214 月経量少から心肝血虚を選んでは間違いでしょうか?
Ans: この症例に肝血虚の症状(眩暈耳鳴、視力減退、しびれ、弦細脈など)がないため、心肝血虚とはとれないです。
No.216 気滞心脈はどこを参照すればよろしいですか?
Ans: 教P108「心脈痺阻証」、【臨床表現】の最後の部分をご確認ください。
No.218 冬に悪化とのことから、寒邪客肺を選びました。飲停於肺への導き方を教えて下さい。
Ans:「飲停於肺」は「支飲」のことです。水分が肺に滞留する四飲の1つ、咳と呼吸困難がひどく(横になれないほど)、脈は弦です。「寒邪客肺」よりひどい病証です。教P112 上にある表をご確認ください。
No.219 熱邪壅肺と痰熱壅肺は同じですか?
Ans: 同じですが、ただし後者の場合は熱邪より痰が多いです。
No.226 寒滞肝脈に導く判断を教えて下さい。
Ans: 足の厥陰肝経が生殖器を通過しているため、男性の睾丸部の墜脹冷痛などは寒滞肝脈と言います。教P121をご確認ください。
No.228 AとBの違いは「風邪」による症状があるかないかですか? 痰が薄く白い、苔が薄白膩、緊脈など、寒の邪気しか読み取れないのですが。
Ans: そうです。No.119の答えをご参考下さい。Aは内傷咳嗽で、病程が比較的に長く表証の症状が見られません。Bは外感咳嗽で、病程が短く、表証の症状が見られます(この症例の脈は浮緊です)。
No.229 腎不納気と浮腫の結びつきは? この患者は肺腎気虚なのですか?
Ans: そうです。この患者には肺腎気虚があると考えられます。30年の病歴があり、腎陽も虚弱と推測できますので、浮腫と結びつけられます。
No.242 月経量が多い程度は不明ですが、期間が7~8日間はそれほど異常ではないので、面色淡白、無華、納少、気短乏力、舌淡苔薄白、脈沈細…などから気血両虚では駄目ですか?それとも三年間の月経量過多イコール脾不統血になるのですか?
Ans: この症例はもちろん気血両虚の症状が見られています。しかし、症状の最初に「月経量が多く三年間余り」と書いてあります。出血の症状が出ていたら、単純な「気血両虚証」ではなくなります。病名は「月経量過多」で、弁証は「脾不統血証」になります(弁証論治の際、患者のすべての証を書く必要がないです。例えば、この症例の場合、「脾不統血証」にしていれば、「気血両虚」も含まれていることを知るべきで、治療はもちろん補気養血なども考えるべきです)。
No.244 悪心嘔吐、色がミカンのような鮮やかな黄色、便溏⇒湿熱蘊脾と考えるのですが…
Ans: この症例の脈は弦数になっていますので、湿熱が肝胆に蘊結している症候です。A、B、2つ証の症状が似ています(脾と肝胆は近隣同士ですから)が、脈で区別できます。教P116とP121をご参照ください。
No.249 この場合、下熱の症状は尿痛だけですか?
Ans:「尿頻、尿急、尿痛」は膀胱湿熱証(急性泌尿器感染)の典型的な症状です。
No.251 血熱証の弁証根拠は出血ですね? 邪熱が血分に入る→血脈を灼傷→出血、というメカニズムで大丈夫ですか?
Ans:そうです。弁証根拠は出血と熱象ですからA、B、D、Eは排除できます。この症例の選択肢から見ると、気血の病証に関する問題で、Cの「血熱証」が正解です。
なお、「邪熱が血分に入る→血脈を灼傷→出血」とは、外感病の血分邪熱熾盛のメカニズムです。本例は臓腑火熱熾盛による血熱で、内傷病に属します。
No.253 湿温病と迷ったのですが、渇喜熱飲から温ではないため、痰飲病にしたのですが、判断は何がポイントですか?
Ans: 渇喜熱飲で飲む量が少ないや飲むと吐きそう、腸鳴、舌と脈などみんな典型的な痰飲病の症状です。なお、「湿温病」は湿熱の邪を感受して起こる熱性病の一種で、潮熱と身熱不揚が特徴です。
No.255 竄痛とは?
Ans: 竄痛(さんつう)とは、ネズミが走り回っているように痛みの動きが速い、つまり固定しない痛みです。
No.270 寒飲伏肺はどのような症状ですか?
Ans: 寒冷な飲邪が肺に溜まり、肺の機能活動が障害する症候です。No218の飲停於肺と同じ証ですが、「伏」というのは、慢性状態を表しています。
No.271 口中が甘い、というのはどのような意味を持ちますか?
Ans: 脾の病証、特に「脾胃湿熱」の場合に現れやすいです。
No.274 「不安」は裏熱とみなされるのですね? 口渇も裏ですか?
Ans: この症例中の口渇、煩躁不安、糙乾苔はすべて裏熱の証候です。
No.295 瘀血阻滞を選んでしまったのですが、気滞血瘀との判別はどのようにしたら良いですか?
Ans: 胸脇の脹痛、憂鬱などを症状で、気滞があると判断できます。
(教務担当:李)