2月13日に内容を補充しました。
(答えにあります「教」は『方剤学』中国語テキストの略称です。)
No.8 選択肢のDとEの意味を教えてください。
Ans:D火鬱発之 → 体内にある鬱熱を発散することです。
E寒薬熱服 →(清熱の)寒涼性の薬は温かくして飲むことです。
No.29 設問の精神不振とは、元気がないと理解しても大丈夫ですか? 涙があふれるというのは、何を意味していますか?
Ans:「精神不振」は、元気がないと理解してもよいです。「目赤羞明、涙があふれる」というのは、目が赤く、光に当たると涙が出るということです。
No.30麻疹の原因は熱毒と考えるのですね?
Ans: 麻疹の病因は「時邪」の一種で、風熱の邪気に
属します。熱毒ではありません。
No.34教科書では散寒も益気もないのですが。
Ans:全く同じ言語で表現ではないですが、この方剤は虚人が風寒湿を感受した場合に使う方剤です。選択(A・B・C・D・E)の中で、Eの「散寒祛湿・益気解表」は、最もふさわしいです。教P29方解で確認してください。
No.35設問の証は気虚感冒と寒湿ですか?
Ans: そうです。気虚感冒の(風寒湿邪を感受した)証です(教P29)。
No.40 設問の証は、熱結傍流ですか? この場合の熱は高くないのですか?舌が乾燥しているだけで、黄燥ではないので。
Ans: 設問の証は陽明腑証の熱結傍流タイプ(便秘だが硬い便が排出できず、時折悪臭の液体が排出されること)です。練習問題に出ている症例は、患者のすべての症状が書いてあるわけではないです。発熱はあるはずが、この証の弁証要点ではないため、書いてないです。口舌乾燥は津液が損傷される証候です。
No.54 この設問の胸水は懸飲と呼ぶのですか?
Ans: そうです、懸飲に当てはまります。
No.67この証は肝鬱血虚だと思うのですが、脾気虚弱もあるように見えますが、間違っていますか?
Ans: 素晴らしいです。この証は肝鬱脾虚の証です。
No.69 痛瀉要方と白朮芍薬散は同じものなのですよね?教科書には前者が、問題集には後者の名前になっていますが、どちらを覚えるべきなのでしょうか?
Ans:そうです、同じものです。どちらでもよいです。痛瀉要方は、張景岳が命名したもので有名です、しかも覚えやすいですね(腹痛泄瀉なら、痛瀉要方を使う)。白朮芍薬散は、組成で覚えるものです。
この患者は肝強脾弱なので、補脾瀉肝→調和肝脾なので和解剤が必要…という理解でOKですか?
Ans: OKです。肝気乗脾(脾虚肝乗)の証です。
No.78 設問の証は何ですか?
Ans:「身熱、下痢に胸脘の煩悶、口渇、汗出、脈数」というような症状は、外感表証のところに裏熱証(大腸湿熱)もあることです。
No.75 桃核承気湯の効用の破血下瘀とは? 破血は活血より激しいと理解していますが、下瘀とは?
Ans:「下瘀」という語源は「下焦にある蓄血、または瘀血をなくす」ですが、意味は化瘀と同じです。
No.86 普済消毒飲はおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の方剤と理解していましたが、頭面部の化膿性疾患と覚えるべきですね?「目が開かない」というのは、どういうことを意味しているのでしょうか?
Ans:普済消毒飲はもともと疏散風邪・清熱解毒の方剤で、頭面部の化膿性疾患に使われる方剤です。
流行性耳下腺炎の熱毒壅盛のタイプ(ウイルス感染のあと細菌感染を続発される)なら使えます。
なお、「目が開かない」というのは、目蓋が腫れていることを強調する(目蓋が腫れると、目を開けにくい状態です)。
No.97 発熱が午後酷いとは「日晡潮熱」のことですか?「皮膚蒸熱」と舌脈から、陽明実証なのですか?
Ans:この証の発熱は「日晡潮熱(にっぽちょうねつ)」のことですが、細数脈は「陽明実証」の脈ではありません。子供は「稚陰」(陰の発育がまだ整ってない)という状態なので、細数脈が見られます。ですから、この証を「六経弁証」の「陽明実証」を弁証ではなく、「臓腑弁証」を使ったほうがよいです。なお、瀉白散という処方はもともと子供の肺熱咳嗽に使う方剤です。
No.102 芍薬湯と白頭翁湯は共に腸の湿熱痢疾の方剤のようですが、一番大きな違いは何ですか?
Ans:芍薬湯と白頭翁湯の一番大きな違いは、芍薬湯に「通因通用」という目的で、瀉下薬の大黄と理気薬の梹榔、木香が入っているので赤白(膿血)便が見られる湿熱痢に使います。白頭翁湯は血便がメインとする赤痢(熱痢)に使います。
No.110 清絡散と新加香薷飲は共に去暑清熱の方剤ですが、新加香薷飲のほうが急性の熱病に使うと理解しても大丈夫ですか?
Ans:清絡散は傷暑の軽症(身熱と口渇などの症状が軽く、やや眩暈、舌淡紅苔薄白)に使う方剤です。新加香薷飲は急性の熱病に使うものではなく、暑温初起に寒邪も受けたもの(発熱頭痛、悪寒無汗、口渇、胸悶、舌苔白膩、脈浮数)に使う方剤です。
No.115 この場合の皮下出血は陽虚出血ですか? 瘀斑の色が意味することは何ですか?
Ans:そうです。陽気虚弱による出血です。色暗淡の意味は虚証によるもの(鮮紅は実証の血熱)です。
No.123 Eの方剤は、教P85の最下段で「血痺証」とありますが、痺証では行痺、痛痺、着痺、風湿熱痺しか習っていないように思います。どのようなものか教えてください。
Ans:「血痺証」は内科で習った「痺証」とは多少違いがあります。「血痺証」は主に陽気虚弱による皮膚の感触障害と痺れで、疼痛はあまり激しくありません。現代医学の「末梢神経炎」などに当てはまります。
No.142 Cに川穹が含まれないのは、帰脾湯は補益剤なので、川穹で活血行気してしまうと「補」ができないからなのですね?
Ans:そうです。帰脾湯に川芎を使う必要はありません。
No.143 帰脾湯は補気補血の方剤で、当帰も補血の効用はあるものの、活血の効用で含まれないと理解してもいいですか?
Ans:いいえ。もともと『済生方』の帰脾湯には(理由は不明ですが)当帰は入っていませんでした。明代の『校注婦人良方』の帰脾湯には、当帰と遠志が入っていますし、現在も当帰が使われています。試験のため『済生方』の帰脾湯に当帰が入ってないことを覚えて頂きたいですが、応用の際には当帰を使っても構いません。
No.183 桑螵蛸散の解説(教P133)の[方解]で、摂納無权とありますが、説明していただけませんか?
Ans:「摂納無权」とは、気虚で気の固摂作用が失ったことです。「無权」とは「できない」ことです。
No.219 教P152「温経湯」の組成でA・C・Eが9gで同量なのですが…。また、清虚熱と退虚熱が続いて出てきますが、違いはありますか?
Ans:こちらは「相対的」に多いと理解して頂きたいと思います。『中薬学』で習った生薬の常用量ですが、A当帰は5~15g、C阿膠は5~10g、E呉茱萸は1.5~5gとなっています。『呉茱萸湯』に使う呉茱萸は3gで、『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』に使う呉茱萸は5gです。これらと比較してみれば、『温経湯』に一番多く使われるものは呉茱萸であると納得できると思います。
清虚熱(一般的に清熱薬と滋陰薬を使う)と退虚熱(他の方法で熱を取り去る)の意味は、ほぼ同じです。
No.224 十灰散は上半身の出血に対応する方剤だと思いますが、止血薬Bが入らないのはBに収斂効果があるためですか?
Ans:なぜもともとこの処方に藕節と生地黄が入ってないのは、教科書に書いてないですが、使ってはいけないとも書いておりません。加減の際、入れても良いと思います。
No.260 益胃湯は中国語の教科書に出ていますか?
Ans:現在の『方剤学』教科書には益胃湯が入っていません。『温病条弁』にある方剤で、『中医内科学』P149に書かれてあります。
No.305 健脾丸の主治は脾胃虚弱、消食内停とありますが、脾胃虚弱だと①運化の力が弱くなり食欲不振や食滞(食滞化熱による便秘)となる、②脾胃虚弱だと湿を生み便溏になる…、①便秘と②下痢の一見相反する症状が出てくるのですね?
Ans:健脾丸の証の主な症状は、(脾虚による)食欲不振や食滞による腹脹と下痢です。便秘のケースはあまりないです。飽和丸の証には、便秘が見られるケースがあります。
No. 354 六味地黄丸は、滋補肝腎の効果があり、左帰丸は、滋陰補腎の効果があります。答えがAですが、左帰丸の説明をお願いします。
Ans: 五行学説では、腎(水)肝(木)は母子関係ですので、「肝腎同源」という言葉があるように、補腎すれば、養肝もできます。
No.386 玉液湯(教P175~176)の功用には固腎はないのですが…。また、選択肢Cの固歯烏発の意味を教えてください。
Ans:玉液湯の功用はB益気滋陰(生津)、潤燥止咳です。なお、君薬の山薬に補脾固腎作用があり(教P176 上より8行目)、頻尿に効果があります。Cの「固歯烏発」は、歯を固め白髪を黒くするという意味で、発は髪です。歯と髪は腎に属するので、滋養肝腎によって歯のグラグラと白髪を治療することです。
No.387~390 鎮心安神、補心安神、重鎮安神、養心安神、寧心のニュアンスの違いが分からないので教えていただけますか?
Ans:安神剤には、大きく重鎮安神剤と滋養安神剤二種類に分けられます。
重鎮安神剤は、主に肝欝などの実証の治療に用います。重鎮安神薬(重い鉱物類のもの)と清熱薬を使い、肝火や心火を鎮めるために「重鎮安神」と言います。「鎮心安神」は主に心火を鎮めるもので、「重鎮安神」の中に含まれます。
滋養安神剤は、文字通りで、心肝血虚(或は心陰虚)などの虚証にいる心神不安を治療する方剤です。「補心安神」、「養心安神」はほぼ同じことです。なお、「寧心」とは、心神不寧に対して使う言葉です。安と寧は同じ意味なので、不安と不寧も同じことです。
No.391~392 選択肢Eの意味は?
Ans:「辟穢(へきわい)」、辟は避で、よけるという意味です。穢とはよごれ、けがれという意味です。「避穢解毒」は、酷い邪気を感受した時、それを解毒することを指します。
No.393 正解はCの熄風止痙とありますが、教科書の紫雪の箇所には鎮痙安神となっています。紫雪と紫雪丹とは異なるのですか?
Ans:この設問の選択肢ではCが一番合っています。熄風止痙に通じて、鎮痙安神の効果を果たせますから。また、「紫雪」の出典は『千金翼方
』で、「紫雪丹」の出典は『本事方』です、後者には黄金、犀角、沈香が入っていません。
No.452 の痛みはどのようなものですか?
Ans:突然の痛みです。猝(cu 4声)―突然・急に、猝痛(突然痛)、猝死(突然死)という言葉があります。
No.482 選択肢Cはどのような意味ですか 甘草は調和諸薬ではないのですか?
Ans:「調和諸薬」は使薬の意味です。麻黄湯に使った甘草の役目は単になる使薬ではありません、麻黄と桂枝の猛烈(峻烈)な発汗作用を緩和し、正気を保護するという重要な役でありますので答えがCです。この役を「緩峻護正」と言います。
教科書P56「清営湯」にある神煩は、心煩とは違うのですか?
Ans:ほぼ同じですが、神煩とは、熱で精神的煩躁不安(神志障害が伴う)になることを強調しています。心煩とは、情緒によるもの(神志障害がない)を指します。
清営湯と犀角地黄湯とでは、前者を処方する患者の熱が低めなのでしょうか?
Ans:熱が高い、低いという問題ではありません。清営湯は営分の熱(深いですが、血分より浅いです)で、犀角地黄湯は血分(最も深い段階)の熱を清するものです。衛気営血弁証を復習して下さい。
教科書P148血腑逐瘀湯や四逆散にある「和血」とは?
Ans:「行気(活血)」の意味です。
教科書P169「虚陽上浮」とはどのような意味ですか?
Ans:病証名です。「孤陽上越」、「虚陽不斂」とも称します(孤陽=陰陽のバランスが崩れて陽のみ盛んな状態、不斂=収斂できない・収束できない)。陰精虧損→陽失所附→浮越於上(陰精虧損により、陰陽がアンバランスになり、陽が上に浮く・漂う)陰陽学説の互根互用を復習して下さい。
一般的に、助陽と補陽は厳密な違いがありますか?
Ans:ほぼ同じですが、一般的に、助陽とは温裏薬(附子、乾姜、肉桂など)使って陽気を助けることです。補陽とは、補陽薬(鹿茸、巴戟天、肉蓯蓉など)を使い、陽気を「補充」することです。
清骨散と当帰六黄湯の使い分けを教えてください。両方とも陰虚内熱の方剤ですよね?
Ans:清骨散は清虚熱、退骨蒸ができます。組成から見ると、体温が高くない骨蒸無汗の場合でも使えます。
当帰六黄湯は滋陰瀉火、固表止汗ができます。黄芩・黄連・黄柏が入っているので、内熱が盛んになり、熱邪がまだある時に使います。黄耆も入っているので、盗汗が明らかに見られる時にも有効です。
再造散と麻黄附子細辛湯の使い分けは?
Ans:黄附子細辛湯は助陽解表で、平素陽虚の人に外感風寒の場合に使います。
再造散は助陽解表の上に益気健脾、調和営衛の作用があるので、陽虚・気虚を兼ねる人に外感風寒の場合に使います。
小建中湯と黄耆建中湯の使い方の違いは?
Ans:小建中湯は中焦虚寒(陽虚)による腹痛に使います。黄耆建中湯は小建中湯の証に、気虚の症状も明らかに見られる時に使います。
血腑逐瘀湯と失笑散は両方とも活血止痛薬ですが、一番の違いは?
Ans:血腑逐瘀湯は主に胸中の瘀血に使う処方ですが、臨床では全身の血瘀証にも使えます。失笑散は瘀血による痛みを和らげるのに使う処方ですし、小さな処方なので、他の処方と併用することが多いです。
(教務担当:李)