No.1 証候名、慣れた名称の外感風熱証にしても大丈夫ですか?治法は辛涼解表だけではなく、清熱を入れるために辛涼透表・清熱解毒とする必要はありませんか?
Ans:証候名は、外感風熱証でもOKです。治法ですが、この症例の場合は辛涼解表だけで充分です。清熱解毒法は、裏熱毒証の治療法です。
No.2 処方で蒼朮と厚朴(燥湿化痰薬)が入っていないのは、何か理由がありますか?
Ans:蒼朮と厚朴は平胃散の中味で、湿阻中焦(湿邪が中焦に滞る)証に応用します。
No.3 証候名は風寒客表 水飲内停 でも大丈夫ですか?治法なのですが、止咳を入れるために解表化飲・止咳平喘ではだめですか?
Ans:証候名は寒飲伏肺(or風寒客表、水飲停肺)で表すほうが良いです。
寒飲停肺の場合は、止咳法を使ったら痰の排出に良くないので、化痰除飲法をします。痰飲は陰邪ですので、温化痰飲を治法とします。
No.5 証候名の心腎不足は、心腎不交のことですか?証候名を陰虚火旺にした場合は、治法に滋陰養血を入れるべきですか?
Ans:そうですね、こちらの心腎不足は、「心腎不交」のことを指します(心煩不眠、腰がだるい、盗汗などの症状が出るから)。使用する方剤について、症例に陰虚火旺の症状(五心煩熱、口乾少津、舌紅、脈細数など)がなければ、天王補心丹がよいが、もし、このような症状があったら、治法に滋陰降火を加え、黄連阿膠湯か朱砂安神丸がよいでしょう。
No.6 証候名が、不眠の原因の一つである心肝血虚ではなく、肝血不足になったのは、血虚の症状がないからですか?
Ans:まず、説明したいのは、この『練習問題』にありました病名と証型は試験センターが決めたもの(試験の範囲)です。なお、酸棗仁湯の適応症は肝血不足→血不養心(血液が心を養えなくなる)とう証です。もちろん、多くのタイプの不眠は心に関わっています。次に、この症例の症状は明らかに肝血虚がメインです、なので、弁証は肝血不足でOKです。なお、肝血不足の証はほかの血虚の症状(例えば、頭暈、月経量少など)も見られます。
No.7 処方で桔梗を外した理由は?
Ans:実は、臨床で血腑逐瘀湯を使って胸痺を治療する時は、桔梗を入れます。理由は、桔梗は「引経薬」の役目があり、他薬を胸中へ導く作用があるからです。しかし、一部の医者の考えでは、桔梗は血瘀の病機と治療に関係がないので、処方から外したのかも知れません。
No.8 証候名を外邪犯胃にすると、外邪が寒か熱かが不明なように思えますが、これでOKなのですね?治法を解表化湿・理気和中と考えたのですが、間違っていますか?処方に厚朴、桔梗、茯苓、白朮を入れない理由は?
Ans:外感風熱による嘔吐はあまり見られないので、寒邪だと思って頂くことは普通です。治法は解表化湿・理気和中と考えたのはokです。
厚朴、茯苓、白朮は腹瀉に対し、桔梗は胸膈満悶に対する生薬で、この症例にこれらの症状は明らかに見られないので、外しても良いです。
No.11処方に枳壳を加味する理由は?
Ans:枳殻は利気寛腸の作用を持ち、患者に裏急後重の症状があるので、木香・梹榔・枳殻を組み合わせると、行気作用を高め、裏急後重の症状に効果が良いです。
No.14 処方の炒曲とは何ですか?砂仁と白豆蔻を加えて大棗を取る理由を教えてください。
Ans:炒曲とは神麹を炒ったもので、消食の作用があり、食欲がない時に使うと良いものです。砂仁と白豆蔻は湿阻中焦証対応します。大棗は少し滋膩(胃がもたれる)の副作用があり、湿濁内停証に良くないので外します。
No.15 処方に陳皮ではなく青皮、枳実ではなく枳壳にして、生姜と山梔子を加える意味を教えて下さい。
Ans:陳皮に疏肝作用がないで、青皮はありますから、青皮を選びました。
原方にある枳殻より、枳実のほうが行気寛胸の作用が強いので使っても良いと思います。勿論、もし患者の体質が弱いなら、枳殻に変えたほうか良いです。
吐き気があるので、生姜で止嘔のため使いました。
怒りっぽいので、舌苔が薄白でも肝火があると考えます、山梔子を使って清肝瀉火します。
No.16 処方に猪苓と沢瀉を入れる理由は?
Ans:水腫、尿少の症状に対して、利尿消腫の効果を高めるため、猪苓と沢瀉を入れます。なお、便溏に対しても猪苓と沢瀉を入れて「利小便、実大便」の効果が得られます。
No.18 処方に黄連(清熱燥湿 瀉火解毒)と山梔子(瀉火除煩 清熱利湿 涼血解毒)が入っていますが、証候に「傷津」とあるのに大丈夫なのですか?
Ans:患者の脈は有力で、胃熱が酷いということなので、黄連、山梔子で清熱瀉火します。滋陰の地黄、麦門冬が入っているので、傷津の心配は要りません。
大熱、壮熱、高熱の厳密な違いはありますか?
Ans:壮熱は陽明経証、白虎湯証に現れる症状で、実証を代表します。
大熱は補中益気湯証に現れる症状で、多くの場合は虚証を代表します。
上の両方とも患者の自覚症状に属します。それに対して、高熱とは、体温計で測った温度を指します。
(李)