こんにちは、周です。今回は大黄の話(前回の続き)です。
大黄は4つの「補益」作用があります。
その1、健脾和胃。単味の酒制した大黄を研磨し水を加え丸剤にして、「独聖丸」と呼ばれます。毎回0.3~0.5g、1日1~2回を服用します、胃弱不納・脾運不健・消化吸収不良・食欲不振・脘腹痞満・便溏或燥・筋肉消痩或肥満などに有効です。
慢性胃腸炎の壮年の男子を治療した病案を紹介します。症状は胃痛腹満・食欲不振・大便溏薄(1日排便2~3回)・面黄肌痩・神疲乏力で、健脾益気作用ある薬を服用したが、効果はなかったです。朝晩2回0.3g独聖丸を投与された数日後、成形の大便(1日排便1回)となり、食欲もある、胃痛腹満はなくなり、1ヵ月後の体重が増えました(1.5kg増)。
もう1案例を紹介します。女性、身長155cm、体重91kg。よく食べる、大便不調、倦怠。総コレステロール390mg/dl・中性脂肪250 mg/dl。1日2回0.3g独聖丸を投与された2週間後、大便調、体重やや減、2ヵ月後の体重は81kgとなり、生化学検査の値も正常です。その後、独聖丸は脾胃失調による肥満・血脂の者に使用して効果は得ましたので、降脂(脂肪を下降させる)の有効薬であることを証明しました。
その2、袪瘀生新。歴代の多くの医家は複方の下瘀血湯・大黄䗪虫丸などを使いますが、私は独聖丸を使って血証を治療します、特に血瘀経閉による乾血労証に効果は良いです。ある症例を紹介します。28歳、既婚者、突然驚かされた後、長期間(15か月間)を閉経し、痩せて虚弱、肌膚不栄、毛髪脱落、面色萎黄、脈沈渋、舌質暗紅、瘀斑、舌下の絡脈は淡紫色・怒張粗長(血管が浮き出して見える、太く長い)、血瘀経閉証と診断しました。婦人科検査:卵巣機能低下、無排卵、子宮萎縮。独聖丸(毎回0.5g、1日2回)を投与して数日後、食欲が出て、2週間を継続投与して大便の色は黒くて溏となり、少腹が重く下に堕ちるという感じがします。又も2週間を継続投与して、経水来潮、月経の量も多くなり、少腹痛、黒い血塊が若干排出した後、少腹痛みは緩和しました、月経の色も黒暗から紅くなり、月経は7日後で止まりました。その後、按月経行(月経周期正常)、諸症消失、体重は徐々に増え、肌膚潤沢、毛髪復生、面色紅潤、脈象や舌象も正常となりました。半年後、子供(女の子)を産みました。
その3、斂血止血。私は肺胃熱盛による吐衄咯血・下焦郁熱による便血尿血に用います。単味大黄15gを煎じて服用します。2例を紹介します。ある潰瘍病・吐血便血の患者に濃縮した大黄の煎じ液をゆっくりと飲ませて、1日以内で止血しました。逆経鼻衄の患者に大黄15gを煎じて飲ませたら止血し、月経は正常となりました。このような病案は多くて一つ一つ挙げきれません。
その4、渋腸止痢。大黄は常用量なら泄降で、少量(0.1~0.3g)なら返って収斂止痢です。ある噤口痢の患者(悪心嘔吐で食べられない、腹痛裏急、下痢膿血便不暢)に大黄粉0.5gを糯米紙で包んで呑服し、1日3回、1日を服用して緩和し、3日後に下痢通暢、諸症はほとんど無くなり、5日後に治癒しました。
上述した四方面の治療経験は皆「補」法に属します。大黄は瀉に用いられる方法がここで
くどくど述べる必要はありません。大黄は「能攻擅守、補瀉両用」の双方作用があります、大黄を運用するポイントは炮制と剤量です(量大則瀉、量小則補/斂、生用則降、酒制則昇)、臨床用薬する際、弁証しなければならない、一味の大黄は補瀉(補と瀉)の効能を兼有していることを忘れてはいけません。