こんにちは。周です。今回は2回に分けて名医を指す成語をいくつかご紹介します。
中国で生まれた故事成語(熟語)は、ふだん何気なく使っていたり、または読んだことがあると思います。しかし、その故事は案外、知られていないことが多いかもしれません。中医学は悠久の歴史を持ち、中華民族の宝庫であります。その発展の中で、中医学に関するエピソードが残され、今も美談として、人々に語られているものが沢山あります。
「岐黄之術」
岐とは、岐伯(人の名前)の事で、黄は黄帝の黄です。中国に現存する最初の医書《黄帝内経》に登場する人物で(問答の形式で中医学を討論しています)、後世の人々は、この名著が中医学に巨大な影響があるとして、中医学を「岐黄之道」、または「岐黄之術」と呼ぶようになりました。
「蒼生大医」
唐の時代の医学家、孫思邈(薬王と尊ばされています)をモデルとし、医徳高尚(モラルが高い)な医者を、「蒼生大医」と呼んでいます。
「懸壺済生」
その由来は《後漢書・費長房伝》によれば:店頭に壺をぶらさげ、薬を売る老翁(老人)がいました。その壺は乾燥したヒョウタン”葫芦”で作ったもので、中に薬が入れてありました。彼は医術に優れ、患者から良い評判を得ていたので、人々はこの不思議な老翁の行動を観察することにしました。すると、老翁が閉店後、葫芦の中に入って行くのを発見しました。以後、「懸壺済生」は、医に従事する人の代名詞となっています。ちなみに、葫芦は中薬の一種です、通淋利水の作用があり、水腫、小便不利、黄疸、腹満などの症状に用いられます。