こんにちは、李です。胃の病証はたくさんありますが、今日は、よく見られる寒証(実・虚)と熱証(実)を紹介しましょう。今回をもって、脾胃の話を終わりにします。
胃(実)寒証:寒邪犯胃により脘腹冷痛を主症とした証候、寒飲停胃でも言います。
【臨床表現】:胃脘冷痛、酷いほうは痛勢が急ですが、軽い場合は鈍痛を覚えます。寒に遇うと悪化、温めると減軽、口淡で不渇。場合によっては脘腹部にごろごろした音がして、水っぽいものを嘔吐、舌苔は白滑、脈は弦か遅です。
【証因分析】:多く過食生冷か脘腹に涼を受け、寒が胃に凝結するか脾胃の陽気が損なわれ、寒邪を復感して発生するものです。寒邪が胃にあるので、胃脘冷痛となります。寒が胃腸を損傷し、水飲不化で上逆するので、口淡で渇しないわけです。脘腹部にごろごろした音がして、水っぽいものを嘔吐すれば、明らかな寒飲停胃の証候です。舌苔と脈は体内に寒がある表現です。
胃気虚証:胃腸気虚により表れる胃の虚寒の証候で、胃腸気虚とも呼ばれます。
【臨床表現】:胃痛が止んだり起こったり、温や按を好む、食少脘痞、食べると痛は緩和される。口淡不渇、痩せてだるい、畏冷肢涼、舌質淡嫩、脈弱です。
【証因分析】:多くは飲食不節、空腹感異常により胃気が損傷されているが、嘔吐等によって胃気が損傷されるか、脾虚が胃に及び長期の病による栄養失調によって起こるものです。胃気が虧虚されるから、水穀を受納腐熟させる機能が減退し、従って食少脘痞となります。陽気不足、胃失温暖のため、胃脘が時に痛むと温や按を好む。痩せてだるい、舌淡嫩、脈弱等は営気虧虚の表れです。畏冷肢涼がはっきりしているのは胃腸がすでに虚しているからです。
胃気虚証、胃陽虚証などもありますが、前に紹介しました脾陽虚証と同じ病機で、病症の程度が違うということでしょう。
普通、胃寒証というのは、病情が実に属します。虚証の場合、「胃気虚証」、或は「脾胃虚寒証」などと称します。
胃熱(火)証:胃火熾盛の実熱の証候で、胃実熱証、胃火熾盛証とも言います。胃陰虚証とは違う証になります。
【臨床表現】:胃脘灼痛、押さえられることを拒み、冷たい飲み物を好む、或いは空腹感がひどく、或いは食べるとすぐ吐く、口臭、歯ぐきの腫れ、歯ぐきの出血などを伴います。便が硬い、尿が少なくて色が濃い、舌紅苔黄、脈は滑数です。
【証因分析】:多く邪熱犯胃、情志鬱火が犯胃、辛燥温熱品の食べすぎによって胃火過旺、陽気亢盛を招いたことです。鬱熱は胃の和降機能を失わせるので、胃脘灼痛で拒按、食べるとすぐ吐く。実火内盛、火は穀を消化し、熱は津を灼すので、冷たいものを好むか、空腹感に襲われます。火熱の邪が経に沿って上炎すると、口臭、歯ぐきの腫痛を見、灼傷血絡、迫血妄行なので歯ぐきの出血を見ます。便秘尿黄、舌紅苔黄、脈滑数等は火熱熾盛の表れです。
以上の証を纏めでみると、胃の寒証も熱証も虚証と実証があります。弁証の際、注意しましょう。