こんにちは、李宏です、今日(6月19日)は何の日?皆さん、ご存知ですか?
今日は中国の旧端午節です。端午は春秋時代の詩人、屈原を偲ぶために設けられた日である事を、皆さんはご存知と思います。
端午節は中国民間伝統節日で、約2000年前から、この日には盛大な記念行事が行われていた様です。しかし、端午節が中医学と関わりがあることを、知っている方は少ないのではないでしょうか?
今回はそのエピソードを紹介します。
地方、民族によって習慣は違いますが、浙江省蘭渓一帯は、「熏薬渣」(薬を煎じた後のかすをいぶす)の習慣があります。端午節、その日の正午になると、各家庭が艾葉(よもぎ)と乾燥させた薬渣(薬を煎じた後のかす)をいぶします。これは熏虫駆瘟(殺菌・温疫を駆除する)の効果があると言われています。
この薬渣を保存する習慣は医家、朱丹渓(1281~1358年、金元四大医家の一人)が治病の際に残したとの伝説があります。
ある日、先生が気喘(喘息)の患者を診察し、麻黄を入れた方剤を処方しましたが、良くなりません。患者に再診を要請された先生は、再度詳しく診察し、この患者は麻黄の継続使用の必要があると判断し、用量も増やしました。しかし、全く効果が有りませんでした。先生は悩んで(誤診は絶対ないと確信していました)、仕方なく、また元の用量に戻しました。すると、今度は1剤分(1日分)だけで大汗が出ました。家族の人は慌てて先生に「先生、大変、汗が止まらない」と言い、先生も吃驚、直ちに石膏を煎じて飲ませると(石膏は麻黄の効果を減らす作用があります)汗が止まりました。
先生はこの症例を不思議に思い、自分の麻黄の使い方に間違いはないのになぜ?考えたあげく、一つの考えがひらめき、全部の薬渣を調べたら、理由が分かりました。前回の麻黄は、麻黄ではありませんでした。すべて偽麻黄だったのです。先生は薬売りの責任を強く追及したそうです。
以後、先生は患者さんに、薬渣を乾燥させ貯蔵するよう勧め、その習慣が、今も残っています。